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街中で食べられる野草:ナガミヒナゲシ

戦争に伴う食料価格高騰のため、野草を食べてみようという声を見かけたので書いてみようと思い立ちました。

それでは1回目、ナガミヒナゲシ。

多少知識のある人にとっては「なんでそんなゲテモノを最初に選ぶんだ」と思われるチョイスですが、この野草は都市部に広く生育し、また採取が容易で、量がとれて栄養価が高いということがあって最初にしました。

ナガミヒナゲシというのはケシの一種で、麻薬成分を含まない(または含んでいたとしても検出できないほど少ない)ケシです。

オレンジ色の綺麗な花を付け、花の季節が過ぎたら「ケシ坊主」を作って種を散布します。

ナガミヒナゲシは花と種子が食べられます。エディブルフラワーといえば昨今流行のワードで、色とりどりの花をサラダや付け合わせにして食べるという文化が浸透してきています。

さらに種子は生食、煎って食べる等ができ、そもそもケシの種なんて食べて大丈夫かという話になるかと思いますが、ケシの種は一般に広く食べられる食材です。

あんパンの上に乗っている粒々を見たことはないでしょうか。あれがケシの種です。芥子粒、ケシの実、ポピーシードといったキーワードで検索してもらえば納得できるかと思います。

ケシの種子の食べ方としては、パンやクッキーなどに練り込む、料理の仕上げや飾りとして使うなどができます。油分が含まれているためナッツ感が強く、美味しいそうですよ。

花が散って茶色く乾燥した状態のケシ坊主を採取し、袋に入れましょう。このとき花の先端部分を上になるよう、振らずに採取しましょう。揺らすと中から種子がこぼれ出てきてしまいます。


さてこのナガミヒナゲシ、なぜゲテモノ呼ばわりされるかといえば、繁殖力が旺盛で駆除に非常に手間と時間がかかり、また非常に厄介な性質を持つためです。知らない人が見ればオレンジ色で綺麗な花なのですが、知っている人から見れば地植えしてしまったミントや並に厄介な植物となります。

アレロパシーを持っていて他の植物を枯らして自分の土地にしてしまう、種の散布能力と量がすさまじく、ワンシーズンで1株から最高15万株ほどまで増える、種子が雨に濡れれば車のタイヤや靴の裏に張り付いて遠方に運ばれる、種は未熟でも発芽能力を持ち、成長するのにアスファルトの隙間や砂利で覆われた空き地でもよいと、本当にトンデモ性能を持ちます。

今なお侵略的外来種として指定されていないのが不思議な植物です。

汚レンジ、ナガミーなどと愛称(?)をつけられる植物ですが、都市部にはポピュラーなもので普遍的に見られます。初夏ごろになるとオレンジ色の花びらが咲き誇り、梅雨前には枯れた姿が見れます。

旺盛な成長や沢山種子を作る能力も、見方を変えれば食料として捉えられる面が大きくなります。食べたら減ってくれないかな。


食べたら追記または改稿をします。

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